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2011年7月30日 (土)

【支那】西海の戦運

反日組織が世界の華僑に呼びかけていた
風雲急!武装漁船1000隻による「尖閣諸島上陸計画」は南シナ海後に甦る

(SAPIO 2011年7月20日号掲載) 2011年7月28日(木)配信

 東日本大震災・福島原発事故で混乱する日本を尻目に、中国の反日活動家たちが、尖閣諸島の実効支配を強行しようとしていたことをご存じだろうか。それは6月17日、1000隻の船団で尖閣諸島を包囲、上陸する計画だったのである。計画は中止されたが、実行されていたら日本はどうなっていたか。作家・黄文雄氏が計画の詳細と、中国の日本領土争奪の戦術を明らかにする。

 2010年夏、米国の首都、ワシントンに集結した職業反日活動を行なう「新華僑」が、2011年6月17日に1000隻の船団を組み尖閣諸島を包囲、上陸するという「千船保釣」を宣言した。

 かつて1978年の「ベトナム懲罰戦争」を前にして、200の武装漁船が尖閣海域に集結し、魚釣島を包囲した事件があった。初めはこれを「万船斉発(一万の船が一斉に行動する)」の保釣運動と吹聴していたが、「万船」ではいくらなんでも白髪三千丈と同じ誇大表現すぎて、実態とかけ離れている。そこで、彼ら在外華僑は、次の保釣運動として、「千船保釣」あるいは「千船斉発」と呼びかけたのだ。

 この運動の背後には人民解放軍海軍の護衛があるので、実際に「千船保釣」が行なわれた場合、日本は手も足も出ない。これぞいわゆる「人民戦争」というわけである。この民間の力で日本に尖閣諸島の実効支配を放棄させるのが人民戦争の強みだと自画自賛している。もちろん、「千船保釣」に参加するのは訓練された民兵で、すべての保釣運動を統括するのは、中国共産党の統一戦線(統戦)部である。

 現役時代に中国の海上民兵訓練を遠くから目撃したことがある、中華民国の海軍退役将官の蘭寧利中将によれば、その訓練は「実に素晴らしい」もので、あまりのレベルの高さに彼はベタぼめしていた。

 もし実際にそのような民兵によって6月17日に決行されていたら、日本にとっては、日清戦争の際の清国北洋艦隊と戦った黄海海戦(1894年9月17日、日本海軍が初めて経験した本格的な近代的海戦)以来の危機となったことであろう。

 現実には決行の1か月前に中止宣言が出された。中止の理由は表面的には東日本大震災の影響とされている。最近の中国は国際世論を重視するようになり、震災で大きな被害を出した日本に対して過激な行動は慎んだということなのだろう。

 しかし、本当の理由は経済的な問題であった。この6・17「千船保釣」運動に向けて華僑組織は資金獲得のため募金活動を行なっていたが、募金の集まりが悪かったのである。1000隻とまではいかずとも、100隻程度の漁船をチャーターするにしても、相当の資金が必要となる。ヘリコプターなどもチャーターするためには、その資金は数億円となろう。

 もちろん、前述のように統戦部が反日組織を支援しており、工作資金が流れている。だが、この工作資金をめぐって組織内部では仲間割れも起きている。

 在米の華僑を中心とした保釣運動組織は、中国・台湾・香港という「両岸三地」の出身者で組織されているが、そのメンバーの数はそれほど多くない。

 例えば、台湾のプロ活動家は100名未満だが、その半数は黒社会(チャイナ・マフィア)の人間である。彼らは一斉検挙を逃れるために保釣運動組織に入り込んでおり、統戦部によって、その活動がすべて統括されている。そのような人材が工作資金を横領し、仲間割れするのは当然といえよう。

常識になった「沖縄は中国固有の領土」

 以上のような実情に加え、最近の中国は南シナ海での動きを活発化させているため、尖閣諸島がある東シナ海での騒動は起こしたくないという姿勢がある。逆に言えば、南シナ海が落ち着けば、必ず尖閣諸島でひと悶着起こすだろう。

 中国は対外進出のたびに常にどこかの国との衝突を伴ってきた。いつも集中的に限定戦争をやってきている。これは中国の伝統的な常套手段なのだ。しかも複数相手に同時にはやらない。たとえば、インドと旧ソ連に同時に戦争をしかけるというようなことはやらなかった。インドが終わればソ連、ソ連が終わればベトナム、というように順々にしかけていくのだ。

 ロシアやインドなど陸の相手とはすでにケンカが終わったから、今度は南の国々、そしてまた日本とやろうというわけだ。現在は南シナ海にケンカをしかけ、そしてそれが一段落すると、今度は東シナ海にケンカをしかけるという交互戦略である。

 次に中国が尖閣諸島に戻ってきた時には要注意である。

 昨年9月、尖閣諸島沖の日本領で違法操業していた中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりした「尖閣事件」は記憶に新しい。

 その時に中国で行なわれた反日デモには、「収回琉球、解放沖縄」と書かれた横断幕を掲げて行進する若者の姿があった。かつてのデモでは見られなかった文言である。中国は尖閣諸島ばかりか、沖縄にまで手を伸ばそうとしているのだ。

 中国で沖縄(琉球)は中国の固有領土であるという主張が出始めたのは、1989年の天安門事件以降である。2000年代に入ってからは沖縄を日本領と認めない言論が目立ち始めた。

 中国の雑誌『世界知識』の05年8月1日号では「沖縄が日本の領土になったのは琉球王国に対する侵略の結果だ」「アメリカの日本への琉球返還は国際法的には根拠はない。それはアメリカと日本2か国だけの授受であって、中国は承認しない」などと主張している。

「千船保釣」は不発に終わったが、この行動は日本に対する、アメリカの沖縄施政権返還反対40周年を記念する「愛国活動」行事の1つだった。

 さらに中国紙『環球時報』の10年9月19日号には「琉球は明治政府が中国から強奪したものだ。今でも日本政府は琉球独立を弾圧している。琉球人は中国の福建と浙江、台湾の人間だ」という論文が掲載された。

 今や中国では、尖閣諸島も沖縄も「古より中国の固有領土」であるというのは「常識」になっているのである。

 そういう中で、中国が打って出てくる次なる手は2つ。

 巡視船や武装船護衛の下で、外国漁船を包囲し、略奪するという「海賊」まがいの行動である。これはすでに台湾海峡で台湾漁船が襲撃される事件が頻発しているが、同様に尖閣・沖縄諸島周辺で日本の漁船に対する嫌がらせ、略奪行為が発生する可能性が高い。

 もう1つは、旧商船、客船を尖閣近海に座礁させ、海上ホテルをつくって、尖閣の実効支配を展開するというものだ。尖閣の実効支配と同時に観光開発による役人の「金儲け」のチャンスでもある。

 さらに注意すべきは、沖縄には今、中国共産党の統戦部の指令を受けたスパイたちがすでに潜入していることだ。「沖縄の住民自決」や「沖縄の独立」などの工作に携わっているのだ。

 日本に危機的状況をもたらしたであろう6・17「千船保釣」運動は中止された。しかし中国はいつでも尖閣・沖縄を自国のものとするための手段を講じていることを、日本人は忘れてはならない。

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