民主退潮「菅降ろし」再燃も 統一地方選後半戦
地方代表が辞任、執行部に圧力
(2011/4/25 0:01 日本経済新聞(2011/4/25 1:57更新))
2009年の政権交代後、初の統一地方選の前・後半戦と衆院愛知6区補欠選挙を通じて、民主党の不振が浮き彫りになった。菅直人首相の求心力が一段と低下するのは必至。民主党内の小沢一郎元代表に近い議員らの間では「菅降ろし」の機運が再燃しつつある。野党との協調により東日本大震災の復旧・復興を進めるという政府・与党の戦略も不透明感を増している。
首相は24日夜、首相公邸で民主党の岡田克也幹事長、輿石東参院議員会長らと会談した。東日本大震災の復旧費を盛り込んだ2011年度第1次補正予算案について野党側の協力を求め、5月2日までに成立させる方針を確認した。
民主党の石井一選挙対策委員長は24日夜、首相や岡田氏の責任論について、記者団に「責任を取ることで党内が混乱する」と述べ、引責辞任を否定した。首相周辺は「国民は政局より大震災への迅速な対応を求めている」と指摘し「菅降ろし」の動きをけん制する。
ただ「菅降ろし」の動きは広がり始めている。民主党大阪府連の樽床伸二代表は25日未明、記者団に「目標にはるかに及ばなかった結果を重く受け止め、責任を取る覚悟だ」と述べた。敗北の責任を取るという名目で自ら身を引き、首相や党執行部にも自発的辞任を促す思惑がある。追随の構えを見せる議員もいる。
小沢系議員は党両院議員総会の開催を求めて25日にも署名集めを開始する。開催には党所属国会議員の3分の1以上の署名が必要で、小沢系議員の一人は「人数確保にメドが付いている」としている。
元代表は24日夜、国民新党の亀井静香代表と都内で会談した。今後の政局を巡り意見交換したとみられる。
民主党内では「菅離れ」の雰囲気がじわりと広がりつつある。衆院補選では、民主党議員の辞任に伴う選挙であるにもかかわらず候補者を擁立できない「不戦敗」となった。
今回の統一選で民主党は当初、自民党の金城湯池である地方議会を切り崩し、支持基盤を強める作戦を描いていた。大阪府吹田市長選では民主党が推薦した現職が敗れるなど、国会議員にとって集票活動の手足となる地方議員や首長を増やせないことで、首相ら執行部への不満は少なくない。
ただ、「菅降ろし」戦略は決め手に欠く。福島第1原発の安定にはなお、6~9カ月は必要とされ、政治空白を作りにくいという事情に加え、「ポスト菅」の本命候補も不在。野党が提出する内閣不信任決議案が可決されるには、民主党から約80人が造反する必要があり、ハードルは高い。
1次補正を5月2日をメドに成立させたとしても、その後の復旧に関連した特別立法の審議や、本格的な復興策を盛り込む2次補正予算案の編成は先行きが見通せない。菅首相が自民党に呼び掛けた「大連立」は、自民党にとって菅首相の退陣が前提。底流に大連立構想が絡みながら、首相の進退を巡る党内抗争が激しさを増しそうだ。
「だれでもいい」かどうかはさておき…
「彼以外ならだれでもいい」 菅首相なぜここまで評判悪いのか
(2011年4月25日(月)19時14分配信 J-CASTニュース)
民主党の小沢一郎・元代表系議員らや野党からばかりでなく、評論家やジャーナリストからも菅直人首相の交代を迫る発言が相次いでいる。つい最近までは「権力争い、政局をやっている場合ではない」だったのに、ここにきて転換、あえて「政変」をすすめる人も出てきた。菅首相は、なぜここまで評判が悪いのか。
ジャーナリストの田原総一朗氏は、「菅首相が聞く耳を持たず、報告をしても怒鳴られるばかり」という政府の災害対策組織幹部の「愚痴」を披露した。朝日新聞の2011年4月23日付朝刊、「私の視点」に書いた。
「組織はバラバラで、すっかり萎縮している」
この記事によると、菅首相から怒鳴られるばかりなので「組織はバラバラで、すっかり萎縮している」。首相に「これまでの振る舞いは、大組織のリーダーとはいえない」「個人プレーも目に余る」「要は責任をとるのが嫌なのだ」と歯に衣着せぬ批判を展開している。「民主党議員を信用しない。だから信用もされない」とも指摘している。
田原氏は従来、「政局に日数を費やさないために、首相は菅直人氏でやむを得ないと考えていた」そうだが、考えを変えた。「こうなれば世論のひんしゅくを浴びても、あえて政変を起こし」と提起し、「一致団結して菅氏抜きの連立体制を民主、自民、公明の3党でつくるべきだ」と訴えた。
「エブリバディ・バット菅」。危機管理の専門家、佐々淳行・元内閣安全保障室長は、「民主党議員のうち、菅氏以外なら首相は誰でもよい」との考えを示し、「(民主)政権内で政権交代を」と呼びかけた。4月24日放送の情報番組「サンデー!スクランブル」(テレビ朝日系)での発言だ。
佐々氏は番組の中で、菅首相について「決断をしない」「決断力がない」と批判。「悪い報告をすると『オレは聞いてない』、『そんな問題オレのとこへ持ってくるな』」という対応を菅首相がしているとも話した。「(菅首相に)お辞め頂くこと。これが私の主張していることです」。
「菅首相は、裸の王様になってきている」
政治評論家の浅川博忠氏に話をきくと、官邸などでは、情報を菅首相にあげても怒鳴ったり怒った表情を浮かべたりするだけなので、「報告するのがバカバカしい」という空気が蔓延しているそうだ。菅首相は裸の王様になっている、というのだ。
首相就任時から「自信過多で、人の意見や情報を聞く耳を持っていない」「危機管理に疎い」と、「与野党を問わず」指摘が出ていた。
浅川氏は「菅さんを替えた上で自民党などと大連立を組んだ方が良いし、そうした動きが出てくるはずだ」と指摘した。
統一地方選は、後半戦も「民主の退潮傾向 鮮明」(日本経済新聞、4月25日付朝刊)といった結果に終わる中、菅首相は4月25日、参院決算委員会で、「厳しい」選挙結果は真摯に受け止めるとしつつ、震災復興や原発事故収束に向け「今後も全力を挙げて取り組みたい」と政権維持に意欲を示した。
とりあえず菅サンは、議員バッジを外してはどうか。(冷笑)
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