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2010年5月 4日 (火)

【民主党】真の軽蔑

軽蔑されることは憎悪を含め恐れられることより危険、とどこかで読んだような気がするが…

鳩山政権への「真の軽蔑」
(2010年5月4日(火)8時0分配信 産経新聞)

 オバマ政権の高官たちが鳩山由紀夫首相をloopyだとみなしているという米側の報道が話題を呼んだ。この英語の意味が「愚か」にせよ、「現実遊離」にせよ、実感は遠まわしながらよく伝わってくる。だが私が最近、聞いた、もっと直截な言葉はcontempt(軽蔑(けいべつ))である。

 オバマ政権の対日政策担当官たちと頻繁に接触している前米国政府高官が教えてくれた。

 「ホワイトハウスや国務省で日米安保関係にかかわる当局者たちは鳩山首相、あるいは鳩山政権に対し、いまや真の軽蔑を感じているといえます。日本側にはそのことを決して認めないでしょうが」

 この人物は「真の」という部分をgenuineという形容詞でとくに強調するのだった。オバマ政権の鳩山観はこんなところまで下落しているわけだ。

 だが鳩山氏への酷評よりももっと気になるのは米国側識者一般の間での日本の重みの急減である。日本が日米関係でも国際社会でも沈没を始めたというのは、米国の認識であると同時に実際の現象だともいえそうだ。この点、オバマ政権側よりも野党の共和党側で、より率直な声が聞かれる。オバマ政権は日本の後退を指摘すると、言葉の矢はブーメランのように逆転し、自分たちの対日政策の失態とされかねないから、表だってはあまり語らないのだ。

 共和党側でその認識を明確に表現した実例は保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングナー上級研究員の論文である。「日本はアジアでも無意味となりかねない」という題で、日本は国際的に影響力や存在意義を縮小させており、このままだと、アジアでも二線級の中級国家になってしまう-という警告だった。

 「日本は日米同盟からいつも安全保障や経済の最大利益を得ながら、米側に対しては最小限の互恵のジェスチャーをみせるだけだ。経済力を政治や安保に転化できず、当の経済力も溶解し始めた」

 「日本の一部の識者は自国の『ソフトパワー』を強調するが、これも政治的影響力に転化はできず、安保上の責任を避けるための言い逃れにすぎない。ソフトパワーなるものは安保の責務を補強はできても代替はできないのだ」

 クリングナー氏はいわゆる日米屋ではない。CIA(中央情報局)で長年、朝鮮半島の分析にあたり、民間に転じてからのここ数年はアジア全体の情勢を追っている。

 同氏の論文は日本の国際的意義の喪失の原因として、「アジアの危険な戦略環境に対し防衛費を8年連続で相対的に減らし、集団的自衛権も禁じたまま、自衛隊の国際貢献には愚かなほどの制約を課し、中国その他の諸国が国際安保への寄与を増大していることから目をそらし…」などと、指摘する。

 そうなると日本の無意味化の責任は自民党にも帰されることとなる。だが同論文は後半で民主党政権となってからの日本の対応にとくに批判の焦点をしぼっていた。

 「民主党政権は日米同盟を対等に、と唱えるようになったが、では安全保障面で具体的になにをするかは示さない。国際平和への貢献は安保の領域外での経済援助や民間再生に限り、危険な作業は他国に押しつける。自国の防衛の政策さえも考えようとしないのだ」

 こうした諸点を指摘していくクリングナー氏は、鳩山政権の「日米同盟の深化」という標語も単に同盟を安保や防衛という本筋から遠ざける策であろうことはすでに見抜いているのだろう。(ワシントン駐在編集特別委員 古森義久)

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