【民主党】小沢に出頭要請
特捜部が小沢に“出頭要請” 不明「17億円」追及へ
(2010年1月6日(水)17時0分配信 夕刊フジ)
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入疑惑をめぐり、東京地検特捜部は小沢氏に対して任意の事情聴取を求める方針を固めた。この疑惑については、特捜部のリークとみられる報道合戦も過熱しているが、リクルート事件や佐川急便事件など過去の政界事件でも、特捜部は捜査情報をリークし世論を誘導した。「国内最強の捜査機関」と「永田町の最高実力者」の最終戦争の行方は-。
特捜部は昨年暮れ、2004年の購入当時、事務担当だった石川知裕衆院議員(36)=北海道11区=を聴取。当時陸山会の会計責任者だった小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(48)=西松建設の巨額献金事件で公判中=も5日に聴取した。
この中で、石川議員は購入資金など4億円以上を政治資金収支報告書に記載しなかったことを認めた上で、「小沢先生から現金を受け取り、購入に使った」と供述。特捜部は供述を裏付けるため、陸山会代表の小沢氏から説明を聞く必要があると判断、出頭を要請するという。
こうした中、同疑惑に関する報道合戦も連日過熱している。民主党ベテラン議員は「特捜部の検事は『自分たちが、この国の正義を守っている』と信じて疑わない人種。リークは意図的に『小沢氏=巨悪』と印象付ける世論誘導だ。(不正蓄財で失脚した)自民党の金丸信元副総裁の二の舞いを狙っているかもしれない」と語るが、実際、元旦の新聞各紙は衝撃的だった。
読売新聞が1面トップで「小沢氏から現金4億円」との大見出しで報道。朝日新聞や産経新聞も1面で「土地取引 小沢氏が指示」「東京地検 任意聴取も検討」と報じるなど、土地取引への小沢氏自身の関与が一斉に報じられたのだ。
この日、東京・深沢にある小沢邸では166人もの国会議員を集めた新年会が行われていた。巨大与党の剛腕幹事長として権勢を見せつけたわけだが、特捜部は同日朝、最高実力者への“宣戦布告”ともいえる記事を書かせていたことになる。
小沢氏側近である民主党の山岡賢次国対委員長は4日、「検察が調査したものをリークするのは違法の塊だ。マスコミを使っていろいろ作っていくのは、まさにアジテーターだ」と批判した。
一方、これまでの報道で、陸山会は04年だけでなく、05年と07年にも政治資金収支報告書に記載していない資金移動を行っていた疑惑も浮上。6日付毎日新聞は、同報告書に記載されていない資金移動は05、07年に計12億円あり、04年の土地購入前後の約5億円と合わせ不記載総額は17億円を超えると報じた。
特捜部はこうした虚偽記載にとどまらず、小沢氏絡みの億単位の資金の出所をターゲットにしているもようで、「小沢金脈」を解明するため、特捜部は鹿島や水谷建設などゼネコン各社の営業担当幹部を呼び、事情聴取も始めた。
そもそも「小沢氏Vs特捜部」の壮絶バトルは昨年3月に勃発。特捜部は小沢氏の公設第1秘書を西松建設事件で逮捕し、「小沢金脈」の解明に乗り出した。一方、小沢氏側は総選挙前だったこともあり、「検察権力の乱用」「国策捜査だ」などと激しく反発した。
当初、特捜部の伝統的手法である「入り口は小さく、出口は大きく(小さな事件から捜査に着手し、最終的には大物を摘発する)」も予想されたが、最終的に公設第1秘書の起訴は、贈収賄ではなく政治資金規正法違反止まり。
このため、民主党内では「事件が選挙前に着手されたため、国民の間に『特捜部は自民党政権を守る気なのか』という不信感が生まれた。小沢氏から鳩山由紀夫代表(首相)にバトンタッチし、民主党内も危機感で結束した。ある意味、特捜部が総選挙で『民主党308議席』という圧勝をもたらせた」(中堅議員)という見方すら出ていた。
また、政権交代後、法務・検察内にも温度差ができた。法務省首脳らは民主党政権と良好な関係を持とうとしたが、「特捜部は総選挙前後も小沢氏周辺の捜査を進めてきた。その結果、『法に照らして粛々とやるべき』との意見が大半だ」(検察関係者)という。
今後、捜査はどうなるのか。
司法ジャーナリストの鷲見一雄氏は「虚偽記載は石川氏の問題だが、億単位の資金の出所や背景については、小沢氏本人から『どういう趣旨の金なのか?』と事情を聴かざるを得ない。財源が一族の資産だった鳩山首相のケースとは違う。特捜部はアンタッチャブルをつくることはできない。政治資金規正法や税法上の問題はないのか、粛々と事情聴取に踏み切るだろう」とみている。
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