【民主党】外交ごっこ
外交オンチな岡田外相
(山形浩生(評論家兼業サラリーマン
VOICE 2009年11月27日掲載) 2009年12月6日(日)配信
成功のハードルは高くない
本誌が出るころには、オバマ大統領来日騒ぎが佳境だろう。そしてもちろんそこでの大きな争点となるのは、インド洋での海上給油問題となる。で、ぼくの予想だけれど、おそらく鳩山政権はいまの給油中止の方針を撤回させられるか、そうでない場合には他のところですさまじい譲歩や便宜供与を余儀なくされるはずだ。
というのも、鳩山政権はこれについて何の準備もなければビジョンもないとしか思えないからだ。
アメリカ側はもちろん、大統領来日できちんと成果を上げようとして、10月初めからアメリカの高官がかなり日本に対する根回しをしているとの報道が入っていた。ところが日本側は、当初この点についてもあれこれ見解が錯綜。そして一応給油停止を決めた10月半ばに、岡田外相がいきなりアフガニスタンとパキスタンを訪問した。アメリカ側がかなり強硬に押してきて、泡を食ったんでしょう。
さて……まずこの時期にアフガニスタンのカルザイに会いに行くという国際的センスのなさは致命的だ。現在、アフガニスタンは大統領選挙がインチキだらけで、カルザイに対しては国際的に非難囂々。アフガンの正統な政権としての地位すら多少疑問視されている状況だ。
さらに、アフガンやパキスタンに説明してどうする? 海上給油は彼らの要請でやってるわけじゃない。あくまで米軍と日本との問題だ。イオングループは、出入り業者がどこのガソリンスタンドを使おうと知ったことじゃない。アフガンでは給油が話題に出なかったそうだけれど、それはべつに給油停止を了承したのではなく、たんに彼らの知ったことではないからだ。というか、岡田外相のほうからそれを議題として提示するのが本来の筋でしょうに。
そしてパキスタンでは給油継続を強く要請され、それに対して岡田外相は、なんと社民党がどうしたとか内輪のもめごとを愚痴ったとか。テメーの国内の不手際を他国の大統領に聞かせてどうするの? 同席していたパキスタン外相は一言も口を利かなかったという。よほどあきれていたんだろう。
ちなみに岡田外相は、帰りにジャカルタにも立ち寄ってスマトラ地震被災地の視察にも出掛けた。でもべつに支援をアナウンスすることもなく、見ただけ。何をするかはこれから考えるというんだけれど、視察の時点で発生からすでに2週間、それから対策を考えても手遅れもいいところだ。見てるがいい、どうせ何も出てこないから。ちなみにぼくは当時ジャカルタにいたけれど、現地では岡田の訪問なんか一言も報道されていない。
とにかくすべて目的意識皆無で、とりあえず出掛けただけで中身がまったくない。でも、これは明らかに鳩山外交の基本方針らしい。その前にアメリカに行った赤松農水相も、相手と日米FTAの話すらせず、今回は握手しに来ただけという趣旨のことを平然といっていたし。すべて形式だけだ。アメリカの入念な根回しとはなんたる差だろう。
次に反故にするのは?
仕分け対象にされたくなければ、下野したら?(冷笑)
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