【支那】気違いに刃物
コピー大国の次なるターゲットは機密性の高いソフトウェアの中味
「中国で売るなら設計図を見せろ」で世界の先端技術が丸裸にされる=山下知志
(SAPIO 2009年6月24日号掲載) 2009年7月6日(月)配信
文=山下知志(ジャーナリスト)
中国のコピー製品を、日本製の外観だけ真似た粗悪品と侮ってはいけない。先端技術の中枢まで盗まれるという、おそろしい事態がすぐそこまで迫っているのだ。ジャーナリスト山下知志氏が中国で取材した。
「トヨタや日産、マツダ、ベンツ、ロールスロイス。今年の上海モーターショーでも、中国の自動車メーカーが日本車や欧州車にそっくりの車を堂々と展示していました。昨年の北京モーターショーでも同様のコピー車があちこちに展示されていた。そのたびにコピーされたメーカーからの抗議や海外メディアから批判されるのに、まったく動じない。恥知らずとはこのことをいうのでしょうね」(日系自動車メーカー関係者)
毎年、北京と上海で交互に開催されるモーターショーは、海外自動車メーカーのコピー車が氾濫するという意味でも、海外のメーカー各社やメディアの注目を浴びている。
ニュースなどで報じられるコピー車を見て、思わず呆れ、苦笑いをしてしまった人もいたことだろう。しかし、もはや笑っているだけではすまされない。新たな技術流出の動きが進行しているからだ。
中国はここに来て、外観だけを真似てきた従来の劣化コピー作りから脱却しようとしている。狙いは、製品の中枢を司る中味の先端技術だ。
「中国は、今度は国を挙げて、しかも合法的にIT(情報技術)関連の中核技術を集め、国内のIT関連企業に提供しようとしている」(北京の日系企業関係者)
今年4月、その動きを決定づける事態があった。中国政府が、外国企業が中国国内でIT関連商品を販売する際、ソフトウェアの設計図などの情報提供を義務づける「強制認証制度」の導入を通告してきたのだ。
これまでも中国政府は、国内に輸入される製品や国内で販売される製品の一部については、検査機関が強制的に認証検査を行なってきた。認証が得られなければ、国内での生産や販売はもちろん、中国内に輸入することもできない。中国でビジネスをしようとする外国企業にとっては、非常に厳しい制度といえる。
しかし、今回の通告がこれまでと違うのは、「ITセキュリティ製品」を強制認証の対象に加えようとしてきたことだ。コンピュータへの不正侵入を防ぐソフトウェアやICチップの基本ソフトウェア(OS)、ICカードなど13品目が対象となっている。
「詳細は明らかになっていませんが、本音はソフトの設計図でもあるソースコードの開示を求めることと思われます。ソースコードはITセキュリティ製品の根幹であり、もっとも機密性の高い貴重な技術情報のノウハウ。これが強制開示を通じて中国企業に流出する可能性はゼロではない。各国政府も企業も猛反対しているのです」(経済産業省関係者)
まして、これまでも中国に技術を盗まれてきた日本側としては、絶対に認めるわけにはいかず、経産省からWTOへの提訴を検討する事態となった。今年4月に訪中した麻生太郎首相も、中国の温家宝首相との会談で直々に導入の見直しを迫っている。欧米政府も同様だ。さすがに中国政府もこうした声にあらがえず、強制認証の実施範囲を政府調達に限定し、今年5月1日からの実施時期を来年5月に延期すると伝えている。
新幹線の輸出でも技術流出の危険性
ただし、仮に導入撤廃に追い込んだとしても、安堵することはできない。中国に駐在するある日系コンサルティング関係者がいう。
「実は、中国政府の産業育成政策と技術流出は一体なのです。例えば、80年代後半から2000年代初頭にかけては、ハイテク産業の育成がテーマになっていた。家電、自動車、鉄鋼などの重要分野の国際競争力を高めるために外資を呼び込んだ。そして、さまざまな方法で中国企業への技術移転が義務づけられたのですが、意図せざる技術の大量流出もはじまったのです」
中国への工場進出では、パートナーとなる中国企業の選択では政府が関与する。技術プロジェクトなどでは、企業が持っている関連技術の情報提供を求められる。例えば、こんな具合だ。
「中国政府は全国で高速鉄道化を進めており、すでに日本の新幹線車輌と同タイプが走っている。主契約先の日系大手企業が落札したのですが、中国政府との契約は、車輌設計図の提供や車輌を分解して国内で生産することを容認する項目を含む、明らかに不平等な内容だといわれているのです」(同前)
彼らは、あらゆる手段を使って技術情報を集めている。古典的な手法では、日系企業の技術者を週末アルバイトで雇ったり、退職技術者を雇用したりしてノウハウを吸収する、会社パンフレットにたまたま載っていた工場内の写真や工場レイアウトなどから設計思想や生産方法を盗むといったことが常習化している。
経済スパイも暗躍する。07年に韓国の自動車メーカーの現代・起亜グループで、中国への大規模な技術流出事件が発生している。日本では大手自動車部品メーカーの中国人技術者が、部品設計図などを大量に中国に持ち帰った事件があった。ドイツでは、リニア・モーターカーの技術が中国に流出したという。
一方では、中国商務省主導で欧米に使節団を送り、多額の買い物をして懐柔策にも出ている。今年2月には中国企業約200社がドイツやイギリスなど欧州各国をまわり、ハイテク部材の購買や技術輸入などで1兆円を超える規模の買い付けをしたという。今後も欧州や台湾に「買い付け団」を派遣することを表明しているが、このように表と裏の顔を使い分けるのが中国のしたたかさだ。
90年代に中国のハイテク産業が急速に拡大したのは、技術移転のみならず、海外企業が持つ中核技術の流出にも支えられていたといっていい。
「中国の産業・社会発展の政策で有名なのは5か年計画です。現在は06~10年までの第11次5か年計画が進んでいます。しかし、これとは別に個別の産業、分野育成のための長期計画がある。実は、この長期計画に合わせて技術流出も増える傾向があります」(同前)
例えば、86年3月からスタートした「ハイテク研究発展計画」(通称「863計画」)や、関連して88年にスタートした「タイマツ計画」、さらには97年スタートの「973計画」「国家重点基礎研究発展計画」。重点項目を変えながら策定されてきたハイテク分野の産業育成、発展計画に基づいて、政府は外資の中国進出を促し、中国企業と組ませて技術の移転を進める。これを表の顔として、一方では、手段を選ばずに重要技術の流出を図ろうとする。
実は、ITセキュリティ製品の強制認証の導入もこうした計画の延長線上にある。
中国の情報通信分野については、06~20年までの長期計画「国家中長期科学技術発展規画綱要」に基づいて、情報産業の重要技術を掌握し、技術水準を世界のトップレベルに引き上げるとの目標を掲げている。また、今年2月には、国務院常務会議で「電子情報産業調整振興規画」が採択された。電子情報産業を今後の中国経済の支柱産業に育てることを決めたのだ。
情報産業育成とハッキングの一石二鳥
「先進国の企業はいま、自社が持っている最先端技術という知的財産を守るために厳重なセキュリティ態勢を敷いています。中国がもっとも苦慮しているのは、この最先端技術の情報の収集です。ITセキュリティの技術情報を明らかにさせれば、国内の情報産業の育成にも役立ち、ハッキングも可能になる。一石二鳥ということですよ」(大手情報機器メーカー幹部)
さらには、最近話題になった中国企業による自動車メーカー・ボルボ買収といった、企業まるごと買収の脅威まで出てきている。世界が100年に一度の大不況で弱りきったなか、先端技術を漁る中国。その姿は、まるで火事場泥棒にも映る。
支那なぞにコンピュータや機械を売ってはいけない、ということですね!わかります。
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