【北京五輪】「負けても代表」?
【北京五輪】柔道 谷、笑顔なき銅 戦術空回り、無情のブザー
(2008年8月10日(日)8時25分配信 産経新聞)
準決勝の残り33秒。その瞬間は訪れた。
ともに2度の指導を受け、一進一退の組み手争いを続ける谷亮子とドゥミトル。繊細な駆け引きにしのぎを削るさなか、唐突に待ったが掛かる。組み手を拒み続けたとして、谷だけに3度目の指導。同じテンポで試合を続けた2人なのに、なぜ…。観衆の疑問符を置き去りに、無情のブザーが終戦を告げた。
「審判の判断なので、自分ではどうしようもない」。気丈に声を絞り出した谷の目が潤んでいる。
アテネ五輪と比べれば、谷の柔道は進化というより変化した。観衆を魅了した技量、力量の勝負から、戦術勝負へ。「同じことをやっても、いい結果は出ない。成長したことにならないでしょ」。確かに進退は水際立っていた。相手が手を伸ばせば、バックステップ。相手が止まれば、飛び込んで一撃を狙う。だが、審判の心証には消極性だけが映った。
日蔭暢年・女子監督は手厳しい。「戦術の空回り。延長戦にもっていくか、5分間で決めるか。計算を間違えたな」。言い方を変えれば、審判の目に左右される谷の柔道は破綻(はたん)していた。前に打って出た3位決定戦で、目の覚めるような一本勝ち。皮肉というほかない。
昨年4月の代表復帰後、谷が受けた心理テストでは、精神的なエネルギーの数値がアテネ前より下がった時期がある。出産、育児に力を注いだ反動と取れるが、谷は「柔道だけで強くなるには限界がある」とも感じていた。
試合時間をフルに戦う気力、体力、対応力。それを畳の外に求めた。
例えば「ニューロリンク」の応用。脳の指令を筋肉に伝える系統を、体の機能向上に役立てる技術だ。今年2月のフランス遠征では、ニュージーランドから専門家を招き、高度な理論を学んだ。
勝って当然-。世間の期待に「そういう選手であり続けたいという思いが、自分を後押ししてくれた」。だが、この1年4カ月、家庭を“犠牲”に第一線で体を張り続けたのも事実。「また主婦をしたい」。支えてくれた家族に、当分は柔道以外で応えたいとも思う。視線の先にロンドン五輪はあるのか。「自分一人の気持ちでは決められない。周りと相談して」。燃え残った「ママでも金」の夢は…。虚空をさまよう谷の目は、何も教えてはくれない。(森田景史)
やっぱり、呪…?(冷笑)
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